『前世療法』この本は〜、不治の病に侵されたジーモンという少年が〜、
楽しいことなにも知らないで死ぬのはかわいそうっちゅうことで〜
ジーモンの入院している病院の看護婦が〜前世療法を受けさせたのがきっかけで〜
(↑なかなか入り込めなかったことがわかる導入・・・)
ジーモンがかつて、そして今も未解決事件としてケイサツが追っている
でかい犯罪の犯人であったのではないかという
前世の記憶から今の事件を追いかけていく
サイコスリラーストーリー。
何が真実で何が虚構なのか。
何が仕組まれた罠で何が偶然なのか。
死にゆく十才の少年が、
かつてオッサンの時に犯した罪を今世も背負って死ななければならないのか。
それでなくても、治らない病に充分彼は苦しんでいるのに。
というお話しなんすが。
最初は前世療法に連れ出す看護婦って(笑)と思ったのですが。
ノリとしては
「あんたぁ前世はお殿さま!」みたいな感じでちょっと楽しんでほしかったみたい。
でも日本のそれとは違って(水晶ながめたり手相みたり)
ちゃんと医療として研究されてるらしく、
診察室があって、ベッドがあって、深い睡眠におとしておいて、マジな前世を引き出すという
あんまし子供に喜んでもらえるイベントではないようなものでした。
リアル過去みて貧乏で親はアル中とか殺されて死んだとかだったら
余計沈むっつの。
と思ったら案の定、過去の自分は殺人者。ガーン。
でもあくまでそれは伏線。
そんなちゃちな小説ではありませぬ。
たくさんの人間の思惑や、隠してきた心の傷が白日のもとにさらされる時、
物語は開放され、闇の中手探りで進むような重苦しさは
一瞬、雨のスキマを縫う晴れ間のような明るさを取り戻すのです。
きっと泣くよみんな。
以前紹介した
『治療島』の作者です。
なんとなくだいどんでん返しの傾向は似てるかな。
前回もホロリときたけど、今回もサイコでスリラーなんだけど、
人間に対する愛とか、善とか、作者の人間性が滲み出ていて杜は好きっす。